中国で発祥した名刺
名刺の発祥は意外かもしれませんが、名刺の発祥の地は中国だといわれています。
その起源には諸説ありますが、中国の皇帝が結婚する際、妻の家族に自己紹介のために、竹でできた「刺」と呼ばれるものに名前を書いて渡したものとされています。
このほか、外宅を訪問した際に取り次ぎ時に「刺」に名前を書いて渡す、といった使われ方もしていました。誰かの邸宅を訪問するとき、取り次ぎや不在時にを使うようになり、それがやがて紙に変わり、名刺となり、世界中に広まっていたようです。
名刺に「刺」が「紙」ではなく「刺」という漢字を使うのも、現来、紙ではなくて竹でできた「刺」を使っていたことから由来しているようです。
日本の名刺の歴史
日本で名刺が使われ始めたのは、19世紀初頭ごろ
日本における名刺の始まりは、19世紀の初め頃です。はじめは和紙に名前を書き、中国と同じく、訪問先の不在時に置いてくるというスタイルでした。
そこから名刺は広まっていき、幕末には外国人と名刺交換を行っていたという記録があります。名前と家紋を記したものが使用されていました。外国人相手に渡すことが多かったと記録が残っています。
明治時代からは、身分証明書として使われるようになる
名刺は、明治以降は広く使われるようになりはじめ、貴族や上流階級の社交用アイテムになっていきました。戦後になると一般にも広く使われるようになり、身分証明書としても活用されるようになっていきます。
当時はほとんどが黒一色のものでした。記載内容は会社名や電話番号など、単純なものでした。次第に会社員の営業職や公務員も使用するようになっていきました。
昭和50年代初頭からは、フルカラー名刺も
高度成長期の後半では、カラーで写真、会社のロゴなどが印刷できるようになりました。フルカラー名刺もめずらしくなくなり名刺のオフセット印刷が始まりました。
この時期にデザイン名刺も発達し、ビジネスシーンに
重要なアイテムとなりました。
1990年代以降、デザインや紙質などこだわり名刺も
1990年代後半頃から、名刺は仕事だけではなく趣味の交流などにも幅広く使用されるようになりました。パソコンやデザインソフトも広く普及し、自分でデータ制作までできるようになりました。正方形やハート型、透明名刺などのデザインが多様化してきて、写真や加工方法でより自分らしさを表現するためのツールになっています。またスピード印刷の需要も高まってきたため、オンデマンド印刷が主流となりました。